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第2話 見廻りの恐怖 -後篇-
王立ローゼンベルク学園
時計塔は、 正門から入ってエントランスに向かって歩いていくと左側に見えて 来る。
入り口のところには「時計台の番人」がいて、 勝手に中に入れないように見張っている。
中には螺旋型の階段が最上階まで繋がっていて、 途中には時計の機械部分を保護するための機械室があり、 更にその上に生徒会室があるらしい。
ところで、みんなは気がついているだろうか?
学園の時計塔は雲の上に隠れていて、 文字盤が見えていないことに・・・。
謎はそれだけではない。
この塔は何階建てなのか、何メートルあるのか、 そもそも時計塔と呼ばれているが本当に時計がついているのだろう か?
学園の案内にも詳細はまったく記載されていない。
ただ、そこにあるだけの時計塔・・・。
その時計塔を舞台に物語が始まる。
それは、
フレイアの森に中に聳え立つ白亜の建物。
そこでは五勇者にまつわる種々の事柄-五勇者にまつわる歴史、
時計塔は、
入り口のところには「時計台の番人」がいて、
中には螺旋型の階段が最上階まで繋がっていて、
ところで、みんなは気がついているだろうか?
学園の時計塔は雲の上に隠れていて、
謎はそれだけではない。
この塔は何階建てなのか、何メートルあるのか、
学園の案内にも詳細はまったく記載されていない。
ただ、そこにあるだけの時計塔・・・。
その時計塔を舞台に物語が始まる。
「・・・・・・それで、警備を命じられた奴らが数人、階段を降りていったんだけど・・・」
「ごくっ」
暗闇の中で、誰かが息を呑む音がやけに響いた。
ここは生徒会執行部親衛隊の詰所。要は警備要員たちのたまり場である。規律の厳しい生徒会の親衛隊員といってもしょせん年頃の男と女。暇があれば怪談やコイバナで盛り上がることもある。今日は、口喧しい古参の隊員もいなくて、たまたま雑談から怪談話になったのだろう。
「かさかさって音がした方向にライトを向けても、何もいなくて・・・」
女子生徒が隣にいた男子生徒の腕をむぎゅっと抱きかかえた。
二の腕にあたりになんとも柔らかなふくらみを感じて、普段なら心臓の鼓動が跳ね上がるシチュエーションなのだが、話に引き込まれている彼にとってはそれどころではない。なぜなら彼ののドキドキは既にピークに達しているから・・・・・・。
「そうしたら今度は反対側からかさかさと音がしたので、ばっと振り向きざま『誰だっ!』って・・・そこで目にしたのが・・・」
「いやぁ・・・」
女子生徒は目をきつく閉じた。
「一緒にいたはずの友人が、まさに真っ白な糸にがんじがらめになって塔の上に吊り上げられていく姿が・・・・」
そのとき、突然部屋の灯りがついた。
「うぎゃぁぁぁあああ」
「いやぁぁぁあああああ」
「ママーーー、怖いよぉ・・・」
「君たち、灯りもつけないで何やってるの?」
詰所のドアを開けて顔を出したのは生徒会副会長のキャヴェだった。
悲鳴を上げていた女子生徒も頭を抱えて震えていた男子生徒もその場で直立した。
何事もありませんよ~、悲鳴なんて上げてませんよ~という表情でを貼り付けて。
「いえっ、何でもないでありますっ!」
怪談話を披露していた上級生が直立して敬礼する。
「経費節減の折、灯火についても緊急時以外は必要最小限にするようにと主計局通達で・・・」
「ごくっ」
暗闇の中で、誰かが息を呑む音がやけに響いた。
ここは生徒会執行部親衛隊の詰所。要は警備要員たちのたまり場である。規律の厳しい生徒会の親衛隊員といってもしょせん年頃の男と女。暇があれば怪談やコイバナで盛り上がることもある。今日は、口喧しい古参の隊員もいなくて、たまたま雑談から怪談話になったのだろう。
「かさかさって音がした方向にライトを向けても、何もいなくて・・・」
女子生徒が隣にいた男子生徒の腕をむぎゅっと抱きかかえた。
二の腕にあたりになんとも柔らかなふくらみを感じて、普段なら心臓の鼓動が跳ね上がるシチュエーションなのだが、話に引き込まれている彼にとってはそれどころではない。なぜなら彼ののドキドキは既にピークに達しているから・・・・・・。
「そうしたら今度は反対側からかさかさと音がしたので、ばっと振り向きざま『誰だっ!』って・・・そこで目にしたのが・・・」
「いやぁ・・・」
女子生徒は目をきつく閉じた。
「一緒にいたはずの友人が、まさに真っ白な糸にがんじがらめになって塔の上に吊り上げられていく姿が・・・・」
そのとき、突然部屋の灯りがついた。
「うぎゃぁぁぁあああ」
「いやぁぁぁあああああ」
「ママーーー、怖いよぉ・・・」
「君たち、灯りもつけないで何やってるの?」
詰所のドアを開けて顔を出したのは生徒会副会長のキャヴェだった。
悲鳴を上げていた女子生徒も頭を抱えて震えていた男子生徒もその場で直立した。
何事もありませんよ~、悲鳴なんて上げてませんよ~という表情でを貼り付けて。
「いえっ、何でもないでありますっ!」
怪談話を披露していた上級生が直立して敬礼する。
「経費節減の折、灯火についても緊急時以外は必要最小限にするようにと主計局通達で・・・」
ちなみに主計局とは生徒会の会計を司っている部門で『学園の金庫番』とも言われているが、生徒会室の灯りの使用についていちいち通達を流したりはしません、念のため・・・。
「そうだったっけ?」
キャヴェは怪訝な表情を浮かべていたが、本来の用事を思い出し、詰所にいた親衛隊員たちに声をかけた。
「ちょっと塔のパトロールに出るんだけど何人か一緒に来てくれるかな?」
「塔の・・・・・・」
「パトロールですか・・・・・・」
いつもなら、間髪いれずに、我先に返事があるのに、なぜかお互いに顔を見合すだけで、誰も返事をしない。
「そうだったっけ?」
キャヴェは怪訝な表情を浮かべていたが、本来の用事を思い出し、詰所にいた親衛隊員たちに声をかけた。
「ちょっと塔のパトロールに出るんだけど何人か一緒に来てくれるかな?」
「塔の・・・・・・」
「パトロールですか・・・・・・」
いつもなら、間髪いれずに、我先に返事があるのに、なぜかお互いに顔を見合すだけで、誰も返事をしない。
(お前、いけよ)
(えーー、先輩こそどうぞ)
(なに言ってんの?こういうことは後輩が進んで手を上げるべきだろっ!)
(先輩が見本を示してくださいよっ)
キャヴェは(目だけで会話するなんて器用だなぁ)と思いながら隊員たちを見ていたが、埒が明かないので
「それじゃあ、君とそこの君、一緒に来てね」
「はい・・・」
「・・・承知しました」
指名された二人は渋々と立ち上がった。
「残ったみんなも、いつでも出動できるように準備しておいてね」
キャヴェは部屋に残ったメンバーにそう告げた。
リーダー格の男子生徒が、
「今日は随分と用心深いですねぇ?」
「残ったみんなも、いつでも出動できるように準備しておいてね」
キャヴェは部屋に残ったメンバーにそう告げた。
リーダー格の男子生徒が、
「今日は随分と用心深いですねぇ?」
と尋ねる。
指名されなかったために心なしか表情が緩んでいる。
キャヴェは、
「うーん、考えようによってはタランチュラよりも怖い相手だからかな・・・・・・」
そう言ってドアを閉めた。
「タランチュラよりも・・・・・・?」
時計塔に棲む巨大な蜘蛛モンスターの姿を想像し、自分たちの上司がそれよりも怖いという謎の敵の姿を頭に浮かべたメンバーたちは恐怖におののいた。
☆
「いやー、久しぶりにブルった・・・」
指名されなかったために心なしか表情が緩んでいる。
キャヴェは、
「うーん、考えようによってはタランチュラよりも怖い相手だからかな・・・・・・」
そう言ってドアを閉めた。
「タランチュラよりも・・・・・・?」
時計塔に棲む巨大な蜘蛛モンスターの姿を想像し、自分たちの上司がそれよりも怖いという謎の敵の姿を頭に浮かべたメンバーたちは恐怖におののいた。
☆
「いやー、久しぶりにブルった・・・」
慧さまが身震いすると、斎(いつき)も
「いつ見てもYukarikoさんのナイフ投げは芸術的ですねぇ・・・」
感心したように呟いた。
「うむっ」
と頷く左之助。
「ちょ、ちょ、ちょっと待たんか、おんしらは」
「うむっ」
と頷く左之助。
「ちょ、ちょ、ちょっと待たんか、おんしらは」
男は、何事もなかったかのように歩き出した3人に声をかける。
「ん?」
「どうかしましたか?」
「置いていくぞ」
「いや、おかしいにかぁーらん?ボールペンがコンクリートの台座に刺さるらぁてどうなっちゅうなが?
「ん?」
「どうかしましたか?」
「置いていくぞ」
「いや、おかしいにかぁーらん?ボールペンがコンクリートの台座に刺さるらぁてどうなっちゅうなが?
ふとぅうはほがなことあり得ないろーうが?」
男は一気にまくし立てた。
「というか、投げたの見えんかったろ?ノーモーションで刺さりおった」
「というか、投げたの見えんかったろ?ノーモーションで刺さりおった」
「そんなのよくあることじゃない?ねぇ?」
「そうですね」
「うむ、気にするほどのことではないな」
「それってふとぅうのことなが?当たり前のことなが?のおしのおし??」
「だってねぇ?」
「Yukarikoさん、ですからねぇ・・・」
「・・・アリだな」
「・・・・・・アリって・・・」
呆然とする男に、
「ほらほら、早く行かないと」
「そうですね、受付時間終了してしまいますね」
「うむ」
「ほらほら、早く行かないと」
「そうですね、受付時間終了してしまいますね」
「うむ」
3人は再び歩き始める。
「しょうまっこと、おそろしいところじゃ・・・」
残された男はため息をひとつつくと、
「待っちくれ・・・」
3人を追って駆け出した。
☆
バサバサッ
黒い影が3人の頭上を跳び越えていった。
「わわっ!」
先ほどの怪談話が効いているので、ちょっとした物音にも過敏に反応する。
「とっ、トマホーク!」
「おいおい、ただのピグミーバットだよ」
「しょうまっこと、おそろしいところじゃ・・・」
残された男はため息をひとつつくと、
「待っちくれ・・・」
3人を追って駆け出した。
☆
バサバサッ
黒い影が3人の頭上を跳び越えていった。
「わわっ!」
先ほどの怪談話が効いているので、ちょっとした物音にも過敏に反応する。
「とっ、トマホーク!」
「おいおい、ただのピグミーバットだよ」
パニックになっている委員にそう言うが、うわの空のようだ。
「・・・は、はいっ」
「・・・ハハハッ、弱虫だなぁ」
「せ、先輩だって、その構えは・・・」
「よ、用心だよ」
カサカサ
「ひえっ」
「す、すぅさいどあっくすぅ!」
声が裏返っている。
「メテオシュトライク!!」
こっちは噛んじゃってるよ、おい・・・
「・・・だから、ピグミーバットだっていってるのに・・・」
落ちてくる瓦礫を避けたキャヴェはため息をついた。
☆
中庭の水鉢のところに、人だかりができていた。
「あっ、つっきーさん、今日はここでやっていたんですね」
斎はぴょんぴょん跳びはねながら、人ごみの中を覗こうとしている。
「・・・は、はいっ」
「・・・ハハハッ、弱虫だなぁ」
「せ、先輩だって、その構えは・・・」
「よ、用心だよ」
カサカサ
「ひえっ」
「す、すぅさいどあっくすぅ!」
声が裏返っている。
「メテオシュトライク!!」
こっちは噛んじゃってるよ、おい・・・
「・・・だから、ピグミーバットだっていってるのに・・・」
落ちてくる瓦礫を避けたキャヴェはため息をついた。
☆
中庭の水鉢のところに、人だかりができていた。
「あっ、つっきーさん、今日はここでやっていたんですね」
斎はぴょんぴょん跳びはねながら、人ごみの中を覗こうとしている。
ギターを奏でている男子生徒を中心に、同心円状に生徒が囲んで、思い思いに彼が奏でる心地よいメロディーに身を委ねている。
「なぁなぁ・・・」
男は、前を行く慧さまを呼び止めた。
「いままでの事もあれやこれや言いたいことはあるけんど、これはなかろう?」
「ん、なぁに?」
「あん男じゃ」
円の中の男子生徒を指差す。
「どこもおかしくないじゃない?」
慧さまは腰に手を当てて首をかしげる。
「つっきーさんは吟遊詩人で、学園のあちこちに出没しては、演奏を聴かせてくれるんですよ」
振り返った斎が肩越しに説明した。
「・・・あん男の格好・・・」
「ヒヨコ・・・ですが?」
ギターを演奏している男は、制服の代わりに黄色いヒヨコのぬいぐるみを着ていた。
透明感のある声と高度な演奏テクニックは、ほんわかしたヒヨコの姿と確かに釣り合いが取れていなかった。
透明感のある声と高度な演奏テクニックは、ほんわかしたヒヨコの姿と確かに釣り合いが取れていなかった。
「おんしらあん男の格好を見ておかしいと思わないがか?」
「ただのヒヨコのぬいぐるみじゃないっ!あんた、まさかあんな生物がいると思ったわけぇ?」
ばかねぇ~と言わんばかりの慧さまだったが、
「ほがなことわかっちゅうわ!!わしが言いたいのは、なき、手が羽になっちゅうがやきコードを押さえたりアルペジオが弾けるのかっちゅうことじゃ!!」
「もう・・・男のくせに細かいことをウジウジと・・・・・・」
「出世しませんよ?」
「余計なお世話じゃっ!」
「シーーーッ!」
「す、すまんことじゃ・・・」
振り返って睨み付けた女生徒に詫びながら、男はぺこぺこ頭を下げる。
「でもっ、おかしいじゃろっ!」
なおも小声で抗議すると、
「実はね、あのギターは、つっきーが演奏しているんじゃないの・・・」
声を潜める慧さま。
男の顔がぱぁぁああっと明るくなった
「そ、そうじゃろ?おかしいと思ったんじゃ・・・・」
うんうんと納得する男に、
「あれ、実は口で演奏してるんだよね・・・ほら『ヴォイパ』みたいな感じ?ぷぷぷ」
しれっと言う。
「そっちの方がもっとありえんじゃろがっ!あいつ、歌も唄おておったが!!」
「難しくはないでしょ?腹話術でだって唄えるんだもん」
「いや、そのようだい(理屈)はおかしいじゃろっ!」
「ワカっちゃいないわね 私ならどーにでも 理屈を変えていいのよっ!」
そんな二人の不毛な会話を断ち斬るように、
「お姉さま~、時計塔に着きましたよ~」
斎は塔の入り口の前でほわほわと手を振っていた。
「おんしとはいっさん決着をつけんとあかんようじゃの・・・・」
「ふふん、無理無理」
スキップしながら去っていく慧さまの後姿に男は歯噛みした。
☆
こちらは塔の内部。
「あっくすだんす!」
「め、めておいんぱくとぉぉおお!!」
「だ、だから、ダミーじゃなくて蝋燭でできた影だってば・・・・・」
冷静さを欠いた隊員たちは、キャヴェの静止も聞かず、ゆらゆら動く黒い影に向かって強力なスキルを連発する。
「まだ先は長いのになぁ・・・」
MPきっと持たないよな、おやつ持ってくればよかったかな・・・。
飛んできた火の粉を避けながらさらに深いため息をついた。
☆
塔への入り口となっている木造りの門は4間(約7.27m)×2間(約3.63m)である。
門の両側には、警護の兵士が2名立っていて、不審者を中に入れないよう目を光らせている。
斎は左右両側の警護兵に、
「こんにちは~、ご苦労様です~」
と声をかけると、背後にあったドアノブに手を伸ばした。
「なんじゃ、あの門は飾りかいっ!」
「生徒は通用口から入ることになっているんですよ」
振り返った斎が答える。
「そんなもんなんかのぉ」
再び斎がドアに手を伸ばすのと同時に向こう側に大きく開いた。
勢いあまった斎はたたらを踏んで中に倒れこむ。
ドアが開いたということは、当然ドアを開けた人がいるわけで、
「きゃっ」
「もきゅっ」
くぐもった悲鳴。
慌ててかけつけた慧さまたちが見たのは、哀れにも斎の下敷きになっている、タイミング悪くドアを開けてしまった人物だった。
倒れているのは、赤いノッカーマスクとノッカーの気ぐるみウェア-つまりフェイクラット-を身に着けた小柄な人物。
「ああっ、大丈夫ですか?」
先に立ちあがった斎は、倒れているフェイクラットを抱き起こした。
「あれ、シライさん?・・・」
「斎さん・・・?」
「うんうん、ごめんなさい、そっちに人がいるのに気づかなくて・・・」
頭を下げると、
「・・・い、いいえ・・・こっちも・・・よく、みて・・・なかった・・・から」
か細い声なので切れ切れに聞こえる。
「本当に大丈夫?」
「・・・きゅっ・・・」
ぺこりとお辞儀をして小走りに駈けていってしまった。
まるで、それ以上の接触を避けるかのように・・・。
「あの子・・・」
「同じクラスの子なんですけど、いつもあの格好でクラスメイトともあまり話をしないんですよ・・・」
「どっかで聴いたことあるような声・・・」
慧さまは首をかしげながら、赤いねずみが逃げていった方向を見つめていた。
☆
塔の一階には螺旋階段がある。
「この上に生徒会室があるんですよ」
「こ、これは・・・」
塔の中心部に立って見上げても、上の様子はさっぱりわからない。
ところどころ、戦闘が行われていることを示す白雲が垣間見える。
「なにやら騒がしい感じがするのぉ?」
「途中には普通にモンスターが出るからね」
慧さまは、左腕に装着したHMPCEを2、3度撫でると「モンスター図鑑」と書かれた画面を見ながら、
「え~なになに・・・ピグミーバッドにタランチュラ、ダミーにデコイ、マジポットにフォレストガードだって・・・えっ?フォレストガード!?」
☆
フォレストガードは有翼魔族でもかなり高位のモンスターで、金ランクである。
「なにやら騒がしい感じがするのぉ?」
「途中には普通にモンスターが出るからね」
慧さまは、左腕に装着したHMPCEを2、3度撫でると「モンスター図鑑」と書かれた画面を見ながら、
「え~なになに・・・ピグミーバッドにタランチュラ、ダミーにデコイ、マジポットにフォレストガードだって・・・えっ?フォレストガード!?」
☆
フォレストガードは有翼魔族でもかなり高位のモンスターで、金ランクである。
通常であれば、ペンデュラムで行く「魔物の回廊【飛行】Ⅲ」でしかお目にかかることはない。
「な、なんでこんなところにフォレストガードが出現するんですかぁ~~~!!!」
「しかも高レベルが10匹もぉ」
「あ、慌てないで、落ち着いて・・・」
キャヴェの声にも焦りの色が濃くなってきた。
既に半数以上は倒したが、味方も体力は削られうち一人は立っているのがやっとという状況である。
「戦力を集中して確実に仕留めるんだ!」
「は、はいっ、メテオストライクっ」
「スーサイド、アックスゥゥゥゥウウ」
ギャァァアアア
「な、なんでこんなところにフォレストガードが出現するんですかぁ~~~!!!」
「しかも高レベルが10匹もぉ」
「あ、慌てないで、落ち着いて・・・」
キャヴェの声にも焦りの色が濃くなってきた。
既に半数以上は倒したが、味方も体力は削られうち一人は立っているのがやっとという状況である。
「戦力を集中して確実に仕留めるんだ!」
「は、はいっ、メテオストライクっ」
「スーサイド、アックスゥゥゥゥウウ」
ギャァァアアア
キャヴェの放った霞返しでまた一匹、断末魔の悲鳴を残して消えた。
あと4匹・・・体力、MPはもってくれるのか。
嫌な汗が流れた。
☆
「フォレストガードなんかがうようよしてるなんて・・・」
アイネさんが言ってのはこのことだったんですね~と、斎は伝えるべきことをようやく思い出したが、もう手遅れだった。
「左の字がいるからまともに上がっていっても何とかなるとは思うけど、足手まといが・・・」
チラッと男の方を見る。
「な、なんぞ・・・」
「あんた、戦闘得意?」
「まあ、得手か不得手かと問われれば、得手とは言い難いが、かといって、まったく不得手というわけでも・・・」
「はいはい、出来ないわけね」
「出来んとは言っておらん!」
「んっじゃ、裏ルートで行きましょうか・・・」
男の抗議をスルーした慧さまは、階段を通り過ぎて奥の小部屋に向かった。
背負っていたナップザックから、小さなドライバーを取り出して、鍵穴をいじること数秒。
カチャっと音がして開錠された。
中に入ると自動的に明かりが点る。
「こ、これは・・・」
「生徒会室直行のエレベータよ」
慧さまはウィンクした。
☆
「こ、これは・・・」
「生徒会室直行のエレベータよ」
慧さまはウィンクした。
☆
「たっ、大変です」
菜月は、読んでいた書類から目を上げた。
「どうしたの」
「見回り中の副会長より緊急連絡です。読み上げます。『手負いのフォレストガードがそちらに向かった。ヒヨコは未だ現れず。キャヴェ』以上です」
「なんですって!!」
事務職の生徒が電文を読み上げるの同時に、ロビーで悲鳴が巻き起った。
☆
ロビーでは、たった今、報告のあった手負いのフォレストガードが暴れていた。
体長は平均的なそれよりも1サイズも2サイズも大きい。
ゆうに3mはありそうだ。
逃げまどう一般生徒と事務担当の生徒でごった返しており、状況が把握できない。
「静まりなさい!」
怒鳴ってみたものの、騒ぎは収まるどころか、ますますひどくなる。
その時、
「あらら、お取り込み中だった?」
菜月の背後から声がした。
「うわっ!慧さまっ!ど、どうやって??」
「ちょっと、人をモンスターみたいな眼で見ないで欲しいなぁ・・・・・・」
いじいじとしたポーズをとってから、
「ところで、会長は?」
きょろきょろ見渡す。
「こ、こんなときに、何の用!!」
いきり立つ菜月に、
「いや、別におちょくりにきたんじゃないって・・・ちょっとさ、書類に会長印をもらいにね・・・?」
「あ、あなたは・・・いま、どんな状況かわかってる?」
「ああ・・・アレかぁ・・・斎ちゃん、左の字、ちょっとアレ静かにさせてくれない?」
「は~い」
斎は杖を取り出し、
「おうっ」
左之助は刀を構えた。
☆
数分後。
「んで、ここんところにポチっと印鑑を押してほしいのよね」
二人によって「片付け」られた手負いのファオレストガードに腰掛けて、慧さまは書類を差しだした。
「・・・」
呆然とした菜月が受けとろうと手を伸ばした時、
「た、大変です!」
またしても、事務職の生徒が駆け込んできた。
「なんですか!騒々しい・・・」
叫び声に我にかえった。
「会長印を取りにいったら会長の執務デスクの上にこんなものが!」
差しだされた紙には、こう書いてあった。
「逃げた犬を探しに行く!捕まえるまで戻らぬ。後はよしなに!!」
「な、なんですって!!!」
菜月の絶叫が生徒会室中に轟いた。
☆
「おいおい・・・、なんだか、楽しいことになってるじゃないか・・・」
腕組みをした青年がつぶやいた。
「学园感到发生波折的预感。」(学園に波乱が起きる予感がする・・・)
「思ったより早く『時』はきたか・・・」
「これで学園の支配は・・・」
「僕たちのものになるのかな・・・」
ふふふ・・・という笑い声のあと、5つの黒い影が闇に消えた。
第2話 了
「第3話 くろねこの秘密」に続く
「どうしたの」
「見回り中の副会長より緊急連絡です。読み上げます。『手負いのフォレストガードがそちらに向かった。ヒヨコは未だ現れず。キャヴェ』以上です」
「なんですって!!」
事務職の生徒が電文を読み上げるの同時に、ロビーで悲鳴が巻き起った。
☆
ロビーでは、たった今、報告のあった手負いのフォレストガードが暴れていた。
体長は平均的なそれよりも1サイズも2サイズも大きい。
ゆうに3mはありそうだ。
逃げまどう一般生徒と事務担当の生徒でごった返しており、状況が把握できない。
「静まりなさい!」
怒鳴ってみたものの、騒ぎは収まるどころか、ますますひどくなる。
その時、
「あらら、お取り込み中だった?」
菜月の背後から声がした。
「うわっ!慧さまっ!ど、どうやって??」
「ちょっと、人をモンスターみたいな眼で見ないで欲しいなぁ・・・・・・」
いじいじとしたポーズをとってから、
「ところで、会長は?」
きょろきょろ見渡す。
「こ、こんなときに、何の用!!」
いきり立つ菜月に、
「いや、別におちょくりにきたんじゃないって・・・ちょっとさ、書類に会長印をもらいにね・・・?」
「あ、あなたは・・・いま、どんな状況かわかってる?」
「ああ・・・アレかぁ・・・斎ちゃん、左の字、ちょっとアレ静かにさせてくれない?」
「は~い」
斎は杖を取り出し、
「おうっ」
左之助は刀を構えた。
☆
数分後。
「んで、ここんところにポチっと印鑑を押してほしいのよね」
二人によって「片付け」られた手負いのファオレストガードに腰掛けて、慧さまは書類を差しだした。
「・・・」
呆然とした菜月が受けとろうと手を伸ばした時、
「た、大変です!」
またしても、事務職の生徒が駆け込んできた。
「なんですか!騒々しい・・・」
叫び声に我にかえった。
「会長印を取りにいったら会長の執務デスクの上にこんなものが!」
差しだされた紙には、こう書いてあった。
「逃げた犬を探しに行く!捕まえるまで戻らぬ。後はよしなに!!」
「な、なんですって!!!」
菜月の絶叫が生徒会室中に轟いた。
☆
「おいおい・・・、なんだか、楽しいことになってるじゃないか・・・」
腕組みをした青年がつぶやいた。
「学园感到发生波折的预感。」(学園に波乱が起きる予感がする・・・)
「思ったより早く『時』はきたか・・・」
「これで学園の支配は・・・」
「僕たちのものになるのかな・・・」
ふふふ・・・という笑い声のあと、5つの黒い影が闇に消えた。
第2話 了
「第3話 くろねこの秘密」に続く
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★COMMENT★
●
●
●ひみつ!?
アインがみんなのおやつをこっそりきろにゃにあげちゃったことかにゃ?
ツヴァイがてきの女かんぶと恋仲なことかな?
ドライがやきそばつまみぐいしたことかな?
フィーアがおとなの雑誌読もうとしておこられたことかな?
フュンフがおねしょしたことかな?
ツヴァイがてきの女かんぶと恋仲なことかな?
ドライがやきそばつまみぐいしたことかな?
フィーアがおとなの雑誌読もうとしておこられたことかな?
フュンフがおねしょしたことかな?
●
●
●Re:ひみつ!?
う~んとね、そういう情報はインターネットに流すと個人情報漏えいって大騒ぎになるから内緒にしておこうね・・・・・・。あっ、個猫情報はいいのかな???
お知らせ
3月2日「第3話 くろねこの秘密-後篇-」をアップしました。
3月1日「第3話 くろねこの秘密-前篇-」をアップしました。
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自己紹介:
管理人兼作者です。
好きな作家:今野緒雪、樹川さとみ、支倉凍砂、神野オキナ等ライトノベル系作家が好きです。
好きなマンガ家:天野こずえ(ARIA、あまんちゅ)、石井まゆみ(キャリアこぎつねきんのまち)
コンチェルトゲートフォルテでは、Yukarikoというキャラ(マジシャン)をメインに使っています。
好きな作家:今野緒雪、樹川さとみ、支倉凍砂、神野オキナ等ライトノベル系作家が好きです。
好きなマンガ家:天野こずえ(ARIA、あまんちゅ)、石井まゆみ(キャリアこぎつねきんのまち)
コンチェルトゲートフォルテでは、Yukarikoというキャラ(マジシャン)をメインに使っています。
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